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 Jan 4,2018

■本年初映画

 年の初映画は谷崎潤一郎原作の「瘋癲老人日記」(1962年)でした。実はこの谷崎の小説、今の今まで「かんしゃくろうじんにっき」と読んでいて、切れやすいじいさんが大暴れする物語なのかなと思っておりました(正しくは「ふうてんろうじんにっき」 参考までにかんしゃくは「癇癪」)。

 若尾文子さん出演の大映ものはかなり観たつもりですが、これは初見でした。いつもはノーブルな紳士役の多い山村聡さんがダーティな喜寿の老人を演じるという思い切ったキャスティング。この時の山村さん、まだ50代前半で、この老け役ぶりだけでも興味深いです。男女の位置づけは同じ谷崎原作の「痴人の愛」を思い出しますが、「瘋癲老人日記」が戦後の谷崎晩年の作なのに対し、「痴人の愛」は大正時代の作品で、大正時代にすでにあのような刺激的な物語が存在したことにちょっと驚きます。

 

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