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 Nov 3,2018

■史上最高の外国語映画

 先月、英BBCの選出した史上最高の外国語映画100本に日本映画が11本入っていました。

1位「七人の侍」(1954年:黒澤明)
3位「東京物語」(1953年:小津安二郎)
4位「羅生門」(1950年:黒澤明)
37位「千と千尋の神隠し」(2001:宮崎駿)
53位「晩春」(1949年:小津安二郎)
61位「山椒大夫」(1954年:溝口健二)
68位「雨月物語」(1953年:溝口健二)
72位「生きる」(1952年:黒澤明)
79位「乱」(1985年:黒澤明)
88位「残菊物語」(1939年:溝口健二)
95位「浮雲」( 1955年:成瀬巳喜男)

1950年代の作品が多いのが印象的ですが、やはり、この時期は映画という産業に活気があり、優秀で才能のある人材が集まってきていたということなのでしょう。ちなみに黒澤明監督の著書「蝦蟇の油」には当時の映画会社の助監督募集の入社試験にいかに優秀な人材が集まってきていて狭き門であったかが書かれています。

「七人の侍」は海外でこういうランキングがあると必ず上位に入る作品ですが、これがこうも外国圏でも受けが良いのは、人類共通の美徳的感情(正義とか忠誠とか慈悲とか)の喚起、メリハリの利いたダイナミックな映像、個性のある登場人物などで映画というメディアの面白さをすべて満たしているからだと思います。加えてプロットが「農民が侍を雇い、一緒に悪い奴をやっつける物語」と5秒で説明できてしまうことではないでしょうか。三島由紀夫が黒澤作品について好意的な評価をしなかったのは、そのテーマがあまりにも普遍的かつシンプルすぎ、三島の好みとは合わなかったのでしょう。そして、このあたりは大衆が映画と文学に求めるものの違いなのだと思います。

私的にはこのランキングに「近松物語」(1954年:溝口健二)「幕末太陽傳」(1957年:川島雄三)が入っていないのが少々残念ですが。


 

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