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 Aug 13,2019

■座頭市と黒澤明

 座頭市映画の第4作目に「座頭市兇状旅」(1963年)という作品があります。この作品で存在感のある老婆を演じている人になにか見覚えがあると思い冒頭のクレジットに戻って見たら、村瀬幸子さんという女優でした。

黒澤明監督映画に通じている方なら、この名前でピンとくると思います。「八月の狂詩曲」(1991年)のあの主役を演じたおばあちゃんです。黒澤映画に突如主役として登場するこの人を監督はおそらくこの映画を観て知ったのではないかと思ったのです。「影武者」(1980年)の主役に勝新太郎さんを起用しようとした監督ですから、勝さんの代表作である座頭市シリーズは間違いなく観ていたことでしょう。

「座頭市兇状旅」での村瀬さんはまだ50代で、作ったフケ役ですが、「八月の狂詩曲」の時はなんと85歳前後。その歳であのハードな役を演じていたと思うと、役者の執念のようなものを感じずにはいられません。その2年後に村瀬さんは鬼籍に入られましたので、「八月の狂詩曲」が映画の遺作となったわけです。


 

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