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 Nov 6,2020

■Cry For Happy

 「Sayonara」(1957年)の梅木ミヨシと高美以子が出演しているハリウッド・コメディの「Cry For Happy」(1961年)を初めて観ました。

この映画はどうやら日本語版は出ていないようで、観たのは英語ヴァージョン。私のつたない英語力ではどこまで理解できたのかあやしいものですが、それでも狭い日本家屋で米兵が寝ていて足で扉をぶち抜いちゃう場面などお腹を抱えて笑ったし、梅木さんのセリフにほのぼのともしました。

60年前の映画を今の感覚で観れば、おかしな部分があって当然なのですが、劇中、日本人が作った映画を上映するという場面があり、これがウエスタンものを日本人が演じるというストーリー。カウボーイも襲撃するインディアンも日本人が演じていて、それを映画館で観ている白人が笑うというシーン、インディアンを悪者として描くことすら問題になる昨今、この際どい設定は今ならわざわざしない表現かもしれません。まあ、「ティファニーで朝食を」(1958年)のユニオシほどひどくはないですが。

そして、お決まりの芸者ハウスでの入浴シーン。ふすまを開けるとそこはいきなり風呂(笑)。「トコリの橋」(1954年)、「東京暗黒街 竹の家」(1955年)、「サヨナラ」(1957年)、「007は二度死ぬ」(1967年)など日本が舞台の外国映画には必ず風呂のシーンが出てきて、中には白人が風呂に入り、日本の女性が世話を焼くというなんともステレオタイプの表現も出てきます。こういう日本女性のイメージはやはり「蝶々夫人」あたりがルーツなのでしょうか。

それから芸者ハウスの木に幸せな文面の俳句や歌を書いた短冊を結んで(七夕のこと?)、それを見て人々は幸せな気持ちになり泣くと、梅木さんが米兵に説明するシーンはなぜか泣けます。この映画で一番印象に残るシーンです。この部分がこの映画のタイトルとなっているようです。

そういえば外国映画に出てくる日本で驚いたのがSFの古典的名作「メトロポリス」(1927年)。あの映画に出てくる歓楽施設の名前が「ヨシワラ」です。

 

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