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■デモテープ

 
楽製作において昔と大きく変わったことのひとつはデモテープのクオリティということがあります。

20年前というのは、自宅でスタジオ・クオリティのデモというのはまず考えられなかったんですな。それほど民生
機と業務機では価格もクオリティも格差があったのです。極端な話、オケはギター1本とか、ピアノ1本で同時に
歌を入れてそのままデモなんていう例もあったわけですよ。つまり作る方も、それを聴くプロデューサーも足りな
い部分を想像力で補って聴いていたんです。

今は本当に気心知れたプロデューサーならいざ知らず、たいていの場合はかなりデモを作りこんでいかなくては
ならなくなりました。つまり、自宅で曲が出来てからの作業というのにかなり時間がかかるんですね。私のデモ
は昔からワンコーラスしか作りませんが、それでも編曲に関してアイデアがある場合には、それを再現するべく
打ち込みやなにやらでかつてでは考えられなかった時間を要します。そう、プリプロを作るケースではそのデモ
のオケがそのまま使用されることなんてこともあるわけですから。

昔はあまり作りこんだデモだと編曲家が嫌がるので、わざわざ歌とコードだけのデモを作り直したことなどもあっ
たのですよ。

<<画期的な製品だったローランドのVS(デジタル・マルチレコーダ
ー)の専用ハードディスク。1996年当時、CD一枚分の容量にも満た
ないわずか540MBのこのハードディスクは5万円でした。

                                                          2003/3/22

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