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 Feb 12,2021

■ミニコルグ復刻

 今年のNAMMショー(楽器の展示会)に出品されていたミニコルグが復刻されるようです。復刻にはオリジナルの開発者の三枝文夫氏(あのシンエイのユニヴァイブを作った方)が関わっているとのこと。

いや、これは懐かしい。1970年代当時はデパートにも楽器店があって、そこにまだめずらしかったローランドSH1000やコルグのこのシンセがよく展示してありました。学校の帰りに友達とよく触りに寄ったものです。ちなみにテレビでシンセというものを初めて見たのは、ジュリーのバッキングをしていた大野克夫さんのアープ2600。これは楽器というよりは飛行機の計器盤のような外観で興味をそそられました(ちなみにアープ2600も昨年コルグから限定で復刻されました)。

コルグといえば、私が大学生の頃、友達が8ヴォイスのポリフォニックシンセのトライデントを買って、しばらく借りていたことがありました。当時、ポリフォニックシンセは恐ろしく高価で、100万越えも決してめずらしくないという時代、トランデントの50万で8ヴォイスは画期的でした。もちろんまだMIDIという規格がない頃の話です。しばらくしてからローランドはジュノ、コルグではポリ6とかようやくお手軽なやつが出てきましたが、当時はシンセで和音を出そうと思ったら、お金がかかったのです。

コルグはヤマハ、ローランドに続くメーカーという認識でしたが、時々、他のメーカーではまねの出来ないような製品を出してくるメーカーでした。例えば、今は死語かもしれませんが、昔はスタジオで「ドンカマ」というとリズムのガイドクリックのことで、これはコルグの「ドンカマチック」というリズムボックスから来ていた符丁でした。メーター式のチューナーも日本メーカーではコルグが一番最初だったような気がするし、CX-3も長い間ハモンドの定番として君臨していました。

今回復刻のミニコルグはシンセ黎明期の、まだモノの時代のモデルです。難波弘之さんは今でも現役でオリジナルモデルを愛用しています。モノシンセはポリが出てきた時にもう無用の長物になるのかと思われましたが、複数のアナログオシレーターを重ねた太い音はベースやソロ用として今でもこの音でなくてはと好むプレイヤーが多いのです。

(写真はオリジナルのミニコルグ700S。まだ社名は京王技研工業の頃。会社が京王線沿線の桜上水にあったので京王、後のコルグの社名はKO.ORGANからKORGになったのだそう。復刻モデル700FSはメモリーのボタンが追加されたぐらいでほとんど同じ外観。そういえば、昔のキーボードは譜面立てのようなパーツが付いているものが多かった。確かローズピアノのマークIIにも板のような譜面立てが付属していたような覚えが)

 

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