■マスキングされた音
近年、DTM関連ソフトで驚いたことは、普通のステレオミックスの音源から各パート(歌のみとかベースのみなど)を独立して取り出せるソフトの精度がすごく上がって、ほぼマルチトラックの独立したトラックを聴いているのと変わらないレベルになったことです。
実はかなり前からステレオミックスから歌だけを消してカラオケを作れるようなソフトは存在しましたが、これはお遊びレベルで、現在のそれはAIを駆使して昔とは比べ物にならないほどのグレードで各パートを取り出すことができます(ただし、ソースによってうまく取り出せるパートとそうでないパートはあるようです)。
これによって分かることのひとつは、昔から聴いていた曲の中にはこんな音が入っていたんだと気付くこと。最終のトラックダウンによってマスキングされてしまった楽器のパートが鮮明に聴くことができるのです。
例えば、ビートルズの「オブラディ・オブラダ」のベース・パートとユニゾンで入っている歪んだようなオクターブ上の音。この正体がなにか分からなかったのですが、このパートを独立して聴くと、これはなんと「歪ませたアコギの音」でした。
もうひとつ、メリー・ホプキンの「グッドバイ」。歌中のアコギのストロークだけを抽出して聴くと、アコギとともになんとガットギターのストロークが重ねられているのです。これはマスキングされているのでまずステレオミックスでは気付きません。
ちなみに自分の曲でちょっと試してみると、なかなかの精度です。色々なパートの抽出を試してみましたが、このサンプル曲ではヴォーカルの抽出が一番自然でした。
元曲(音が出ます)
ヴォーカルだけ抽出(音が出ます)
オケだけ抽出(音が出ます)
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