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 Oct 22,2021

■自作チャート

 私が洋楽に目覚めたのと、深夜放送を聞き始めたのは同じような時期だったと思います。その頃、文化放送の「セイヤング」が好きで、放送内で流れた曲の回数によって毎月、独自のチャートを作って遊んでいました。そのチャートが古いミュージックライフの中から出てきました。

後に知る話ですが、当時の日本でリリースされる洋楽シングルというのは独特で、レコード会社の洋楽担当の人が日本でヒットしそうだと思えば、海外のシングルのB面やアルバム曲でもA面としてリリースしていたということです(時には盤起こしといって海外のシングル盤から直接録音した音源をマスターにしたり、回転数を上げてテンポアップをしていたケースもあったとか)。なので、日本のみでヒットしたという曲がたくさん生まれました。そして、絶大な人気のあった深夜放送からヒットする曲も少なくなく、それゆえレコード会社のプロモーションマンも日参して、それがオンエアー曲の独特の偏りとなっていたわけですが、この自作チャートを見ると、たくさんオンエアーされたのにもかかわらず、全然覚えていない曲があります。

例えば、ドーンの「拍手はいっぱい」('I Play And Sing')。youtubeで聴いても全然覚えていません。「ノックは3回」('Knock Three Times') はよく覚えていますが、これはそれに続くシングルだったのでしょうか。そして、マッシュマッカーンの「水色の世界」('Gladwin')。「霧の中の二人」('As The Years Go By')は覚えていますが、この曲も全然覚えてなく、ただイントロが長いところは「霧の〜」に似ています。

アーティスト名が書いていない「遠い初恋」('1900 Yasterday'')は調べたらリズ・アンド・オリエント・エクスプレスというグループの曲。聴いてみるとバカラックがディオンヌ・ワーウィックに書くような、いかにもこの時代のソフトロックという感じの曲でした。ハワイのグループだそうです。

最後にオンエアー回数の多いキャッツの「一人ぼっちの野原」('I Walk Through The Fields')。これも全然覚えていませんでしたが、聴いてみるとGS風のマイナー出だしにメージャー展開になるサビ。いかにも日本でヒットしそうな曲です。オランダのグループらしいです。

今は洋楽に日本語タイトルが付くケースはめずらしいと思いますが、当時はジョン・レノンの'Power To The People'も「人々に勇気を」ですし、スリー・ドッグ・ナイトの'Joy To The World'も「喜びの世界」でした。この日本語タイトルもヒットするかしないかの重要なポイントだったそうです。


 

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