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 Feb 19,2023

■グループサウンズ

 近田春夫さんの最新本「グループサウンズ」が予想通りすごく面白かったです。

グループサウンズの中世の王子様的イメージは「ブルー・シャトウ」の詞がルーツという説は説得力がありますが、「ブルー・シャトウ」の曲は「月の砂漠」に近いというあたりは思わず爆笑してしまいました。

「フリフリ」の元ネタは微妙だけれども、「あの時君は若かった」の元ネタが「フールズ・ラッシュ・イン」という分析にもなるほどと思いました。また、モダンジャズを聴いて育った職業作曲家が、ロックなんてこんなものだろうと書いた曲がその勘違いゆえに、不思議な魅力となったという見解にも大納得。モダンジャズを洋楽やニューミュージック、ロックをアイドルに置き換えると、そのまま自分にもあてはまるかも(笑)。

GSのことを、最初は志高く出店した本格的洋風レストランがやはり商売のことを考えてランチだけは生姜焼き定食を出すようになり、結局、ディナーのコースにも味噌汁をつけるようになっちゃったいう比喩もすごく分かりやすいです。

また、GSブームの末期、各グループは生き残りを賭けて色々と方向転換を余儀なくされるわけですが、村井邦彦さんがその後のニューミュージックの出現を先取りしているような、アソシエーション・タイプのすごく攻めている曲を書いていることは知りませんでした。当時の流行歌のマナーを全く無視し、完全に洋楽的アプローチで書いているそのスタンスは凄みさえ感じます。ある種、食傷気味だったそれまでのGSの音楽性にリベンジしているかのようです。


 

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