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 Mar 1,2023

■「ベルファスト」を観て

 全く政治色のなかったポール・マッカートニーが1970年代の初頭になぜ「アイルランドに平和を」というシングルをリリースしたかが映画「ベルファスト」(2022年)を観てよく分かりました。元々、ビートルズの出身地であるリヴァプールはアイルランドからの移住者も多く、ジョン、ポール、ジョージの3人はアイルランドにルーツを持つ血筋なのだそう。

この映画で多く使われているのが北アイルランド出身のヴァン・モリソンの曲。ヴァン・モリソンといえば、私などは1972年に日本でヒットしたアイドルの曲のイントロを思い出しますが、それはさておき。

映像がとにかくきれい。1シーン1シーンをカードにして部屋に飾りたいぐらい。本編は白黒ですが、パートタイムでカラーになるのも面白いです(映画を観ているおばあさんのメガネに写っている画像だけがカラーになっているところとかすごく好きです)。1969年あたりのイギリスでの子供の目から見た風俗、例えば、サンダーバードとかマッチボックスのミニカーや、「恐竜100万年」、「チキチキバンバン」(この映画はずっとディズニーか何かだと思ってました)が出てくるのも楽しいです。私の子供の頃の記憶とも一部リンクしますが、おそらく、監督の幼少期の記憶なのでしょう。

中でも素晴らしいのが、おばあちゃん役のジュディ・デンチ。登場する場面は少ないですが圧倒的な存在感で映画全体を支配しています。家族、友人、初恋、死などの様々な要素が1960年代末期の落ち着かない世情の上に描かれます。バディが洗剤を盗んできた時に母親に言う言い訳には爆笑しました。このケネス・ブラナーという監督の名前はしっかり覚えておきます。

ところで、アマゾン・プライムのこの映画の13+の理由に暴力は分かりますが、性的なコンテンツって出てくるのは「恐竜100万年」のあのコスチュームのことなのかな?


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