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■TASCAM 688

 
688は私の所有した最後のアナログ・マルチ・レコーダーでした。

この次に所有したのはROLAND VS-880でしたが、最初、デジタルを使用した時に思ったのは、ノイズはないも
のの、なんか薄っぺらで元気のない音だなーと感じたのです。後にそれがダイナミクスの問題で、デジタルで勢
いのある音を作ろうと思ったらコンプ系は必須であるということに気づくのですが、880を使えば使うほど、前の6
88はいい機械だったなーと思い出していたのです。

688は倍速カセットマルチのいわば最終型としてリリースされたモデルで、20のインプットを持つオール・イン・ワ
ンタイプのレコーダーでした。私はこれにサブのミキサーをつなげて、一時は合計30のインプットに全てシンセな
どのアウトを立ち上げ、4系統のエフェクトと共に使用していました。今、このシステムで作ってDATに落としてお
いた音源などを聴くと、かなりいい音してるんですよ。そう、アナログっていうのは多少レベル入れても、いい感じ
にコンプレスして勢いのある音になるんですね。

あとはやはり操作性です。例えば880の場合はちょっと細かいことをしようと思ったら、目には見えていないマッ
プを頭の中に描いて操作しなければならないのですが、688はそれが視覚的にすぐ操作できたんですね。これ
は製作時にオペレーターとクリエーターを同時に進行しなくてはいけないケースでは結構重要なことなんです
よ。

<<制約の多いカセットマルチの性能を限界まで追
い込んだTASCAM 688は間違いなく名器でした。
このレベルメーターも歌入れなどの時には見やすかっ
たです。6、7年使い倒しましたが、1度も致命的なトラ
ブルはなかったです。

                                                           2003/5/5

kishi masayuki on the web


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