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 Apr 29,2025

■ラジオデイズ

 1982年ぐらいの私がまだシンガーソングライターだった時代の話です。私がビクターのコンテスト出身ということで、そのコンテストの地方の予選にゲストで演奏するという機会が何度かありました。その際にせっかく地方に来たのだから、ステーション周りなどプロモもやりましょうと、ビクターの営業所の人がかなりタイトなスケジュールを組んでラジオ番組などに出演したりしました。

今にして思えば、これは最初から専業作家だったらなかなか経験できなかった貴重な機会だったと思います。まず、思ったのはラジオのスタジオに入った時に、自分が昔、夢中で聴いていた深夜放送などはこんなところから送り出されていたのかという感慨。NHKなどに出れば、アナウンサーの方は固い感じの方も多く、一風変わったムードがあったこと。そして、これはどこのスタジオか失念しましたが、スタジオの壁の出演者から見える位置に大きく「キチガイは禁止用語」という紙が貼ってあったんですよ。

また、番組に出ると記念品でしょうか、なぜかそのラジオ局のオリジナルのタオルをくれるんですよ。ほぼ80cm×30cmぐらいのサイズで、デザインも様々、アルファベットで数文字のコールサインが書いてあるものが多かったと思います。あのタオル、一時はうちに20枚ぐらいあったと思います。東京のラジオ局ではもらった記憶がないので、あれは地方独特の慣習だったのかもしれません。

さらに、この年の秋ぐらいから翌年1983年にかけてFM愛知で番組をやることになって、月2回ぐらい名古屋に通うことになりました。この番組の中にアーティストをゲストに迎えるコーナーがあり、そこでは大物ミュージシャンが続々と訪れ、お話を聞くという貴重な経験をしました。ユーミン(ストーンウォッシュ・レザーのミニスカートをお召しになっていたのをよく覚えています)、まだオフコースだった小田和正さん(この時、私がニコンF2で撮った小田さんの写真がGB誌に掲載されたはずです)、アルバム「FOR YOU」のプロモ中の山下達郎さん(「Sparkle」のカッティングのギターはラインの音ですよねとか、ヴォーカルのコンプはUrei1176ですかなどと放送には乗らなかった会話をしたのをよく覚えています。達郎さんの答えはどちらも「そうです」でした)、尾崎亜美さん(料理の話が中心だった記憶)など自分がプロになる前からアルバムを買って聴いていた人たちと実際に会うことができ、緊張しつつも大変楽しかったのをよく覚えています。局にレコードの視聴室があって、ゲストに入る方のレコードを前もって聴いて予習していましたが、ディレクターの方が欲しいレコードがあったら、申し出てくれれば持って行っても良いと言われ、何枚か見本盤をいただいたのも良い思い出です。

このFM愛知で確かクリスマスのイベントのような催しがあり、視聴者を招き、ホールのようなところでライブをやったのもよく覚えています。その時は局の人の在籍しているビートルズのトリビュートバンドが演奏して、私はそのバンドに急遽入れてもらい、ピアノで参加しました。曲は「ノー・リプライ」だったと思います。


 
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