■TEXT


■クルマ

 
ルマにはいまひとつ興味が湧かないというのが本音です。つまり私にとっては「移動の道具」以上の関心
があまりないのですな。私がクルマに望むことは、圧倒的なパワーでも、びっくりするほど流麗なフォルムでも
なくて、静かなこと、故障しないこと、さりげないこと、そのくらいです。 

その昔、若手の作家が集まってよく食事会というのが催されていたのです。たいていはアルバムの一曲のよう
な仕事で知り合ったメンバーだったので、まだほとんどみんな無名だった時代の話です。今では誰でも名前を
知っているような女性作詞家がスタジオに自転車で来ていたようなことも覚えています。

ほどなくして、このメンバーから徐々にヒットが出るようになりました。ヒットが出てドバッっと(笑)印税が入ると、
まずなにに反映されるかというとクルマなのですな。特にこの傾向、女性作詞家が激しかったと思います。いき
なり「世界の名車シリーズ」になってしまうのです。これははたで見てて結構小気味良かったです。

ちなみに前述の作詞家の自転車もいつのまにかドイツ製のスポーツカーになっていました。

もうひとつクルマに関するエピソード・・・

私の大変尊敬する作詞家の方(男性)がいるのですが、その方と一時期テニスをよくやっていたのです。その
方は数々のヒット曲があるにもかかわらず、クルマには私以上に疎い方で、誰でも乗っているようなフツーのク
ルマに乗っておられました(作家たちの間ではそれがかえってカッコイイと噂になっておりました)。

ある日、恒例のテニス大会があって、私は買い換えたばかりだったクルマに乗っていきました。
駐車場に車を入れると、ちょうどその作詞家の方も到着したところで、私のほうに寄ってこられました。

「あれ?岸くん、クルマ変えた?」
「はい、変えました」

などとやりとりしていると、その方は私の新しいクルマの周りを一周してよく観察しておられるようでした。

そして、その方が発せられた感想は・・

「ドアが4つあるんだね」

それだけでした。こういう方は本当にステキです。

学生時代に乗っていたクルマです。
(定番過ぎて今見るとちょっと恥ずかしいです)
このクルマ、洗車機にかけるとサンルーフの隙間から
水が漏れて悲しかったです(笑)
撮影地は今でもTVとか雑誌のロケに頻繁に使用され
る横浜瑞穂埠頭、1980年。

                                                         2002/6/28

kishi masayuki on the web


<<   TEXT MENU   >>

HOME