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■横浜ネタ〜その1 マルゼン楽器という店

 
く車で通る道沿いに小さな楽器屋があることは前々から気がついていました。そこは伊勢佐木町というや
や時が止まっている感のある場所でしたが、そんな中でもその楽器屋の放つオーラは格別のモノでした。

店の正面にあるすすけた感じのショーウインドウにはもう数年も前からエディ藩さんの下取り品のギターがディ
スプレイされていました。聞くところによると、この「マルゼン楽器」は1960年代には横浜のプロミュージシャン
御用達の店として非常に有名なところで、顧客リストには錚々たるプレイヤーが名を連ねていたらしいとのこと。
なんと店の奥にはおそらくその時代のモノと思われるELKのヴァイキング・アンプの中古品などが無造作に置
かれていたりしていました。

東京にはもうこんなレトロな楽器屋はないだろうなと思っていたら、ある日閉店セールの張り紙が・・。私がそれ
に気づいて足を踏み入れたときにはもうほとんどの商品はありませんでしたが、それでも棚の奥のほうまで見
せてもらって、おそらく35年はそこで眠っていたと思われるブツをゲットしました。

中央が1999年ごろ、閉店直前のマルゼン楽器で
手に入れた1960年代スペックのギブソンのステ
ィール・ギター用弦。在庫の全てを譲っていただ
きました。ギブソン・オレンジの箱には「HAND MA
DE」の文字があります。残念ながら、錆びていて実
用は不可能です。

フェンダーのほうは私が1970年ごろにリアルタイ
ムで入手したものです。偶然にもビートルズなど
が後期に愛用したニッケル・ワウンドの「Rock'n
Roll Light Gauge No.150」というセットでした。
当時のフェンダーセット弦の価格は確か\1200ぐ
らいで、頻繁に購入できるモノではなかったです。
鍋で煮ると弦が生き返るなんて話もありました。

よくギターコレクターなどが夢見るストーリーでこういう話があります。古くから営業している楽器店の倉庫を見
たらほとんどデッドストック状態でお宝ギターが発見されるという話・・・。実際、アメリカなどではスティル・シー
ルド状態で1970年代のマーティンが発見されるなんてこともあるらしいです。もうひとつは質屋でお宝ギターを
発見して、質屋の店主がその価値を理解していなかったために市場価格の10分の1ぐらいの値段でゲットした
という話。そう、ブツそのものよりもこういうストーリーが楽しいのですよ。

                                                          2002/6/1



      
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