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■藤田嗣治のネコ

 
年前にある展覧会で藤田の絵を見て以来、ハマりました。確かエコール・ド・パリとかいうイベントだったと
思うのですが、そこに藤田のネコの油絵があったのです。

ラッキーなことに人もあまりいなくて、約20センチの距離からその絵をずっと見ていられたのですが、洋画で油絵
であるにもかかわらず、日本画のような繊細な風情があり、惹き込まれてしまったのですな。その絵はネコが寝
ている構図の落ち着いた絵だったのですが、なにか心がざわざわするような狂気みたいなモノを感じてしまった
のです。

で、画集でもいいから欲しいなと思い探し始めたのですが、ある美術通に聞いたところ、藤田は図録でさえも、
その絵を出典するのは非常に難しいのだそうです。こうなった経緯については調べると理由があるのですが、と
にかく藤田の絵は写真でさえなかなか見ることができないということが判明したのですな。

そんなわけで後ろ髪を引かれつつも、藤田のことはしばらく忘れていたのです。ところが、数日前にふと立ち寄っ
た行きつけの古書店の目録を見ると、なんと藤田の本があるではありませんか。この本は画集というよりは、本
人やアトリエなどの写真、人物像に焦点をあてた内容なのですが、見ていたら欲しくなって買ってしまいました。

それにしてもこの人はエキセントリックな人だったようですな。土門拳が撮った戦後すぐと思われる藤田の写真
を見ると、なんと左手に
腕時計や指輪の刺青が彫ってあるのです。着ているものもなにか変わった感じだ
し、これは
ロックだなと(笑)

う〜ん、これは一度に読んでしまうのはもったいない。

「猫と女とモンパルナス」藤田嗣治      
(1968年 ノーベル書房)           
この装幀、かっこよすぎです。        
本関係では今年一番の収穫かも。

                                                          2002/7/5

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