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■「F」と「G」

 
30年前のフェンダー、ギブソンといったら、雲の上の存在、日本のギターメーカーとの間には高ーいハード
ル、もしくは一大決意しないと渡れない深くて暗い川が(笑)あったのですね。もしも、大人になってまだギターな
どを弾いていたら、買えるかもしれないという漠然とした思いはあったんですけど、少なくともローティーンの頃
にはそれらが自分のものになるっていう現実感は全くなかったです。価格のことだけじゃないんです。30年
前にフェン・ギブを所有するってことは誰よりもうまくなくちゃならないとか、プロになる意思表明とか、それなり
の覚悟が必要だったってことです。つまり、弾く人を選ぶ楽器だったんですよ。××高校の○○はどうもホンモノ
のストラトを持っているらしいと聞けば、その彼の志までセットで感じた、そんなアイテムだったんです。

で、そういう感覚っていくつになっても残ってるんです。つまり、今だにフェン・ギブはとても遠くて、中途半端な
腕じゃ買っちゃいけないものだって意識がどこかにあるんですね。若い時に片思いで終わったような恋は、その
相手がどんなに歳をとって衰えても、思いは変わらないのと同じような理屈なのかもしれません。

<<初めてのフェン・ギブはクルマ買った時より嬉しかったです。

                                                           2004/3/5

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