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■なぜ「14番目の月」か ユーミンのアルバムで一枚だけ選べと言われたら、私はかなり迷った挙句、「14番目の月」を選ぶでしょう。 その前の「ひこうき雲」、「ミスリム」も好きなのですが、この2枚はあまりにプライベートな感じがして聴いていて 苦しくなってしまうのですよ。で、この4枚目が私小説的な世界とプロっぽい技がちょうどいいバランスになって いて、しかも、それが自然体で繰り出されているという絶妙の時期だったと感じるのです。 名作の要素って、荒削りでプリミティブな本能と、ロジカルで冷静で賢い理性のせめぎあいだと思うんですよ。 私が1985年以降のユーミンをほとんど聴かなくなってしまったのは、あまりにもこの理性の部分が大きくなって しまったと感じたからなんです。 音的なことで言えば、リー・スカラーのベースはすごいです。この時期の海外録音独特のラフさはあるものの、 一発録りのようなグルーブがあるんですよ。たまに「さざ波」のベースを聴きたいためにこのアルバムを聴くこと さえあります。 2004/5/25 |
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