■God
only knows
かつてチューリップの財津さんが「チューリップ」というグループ名について、当時はそういう女性的な名前を
つけるのが流行っていたが、今考えると少し後悔しているという趣旨の発言をされていたと記憶しています。
確かにグループ名から受けるイメージというのは少なからず影響力を持っていて、私は10代の頃、「ビーチボー
イズ」に対してただのサーフミュージックとホットロッドのダンスバンドというようなものすごい偏見をもっていたの
ですよ。ビジュアル的にもアイビーみたいなヘアースタイルで、ストライプのシャツというのも私的にはアウトでし
た。ディック・デイルはかっこよかったけれど、あの典型的サーフ系のフェンダー・ジャガーでスプリング・リバー
ブかけたようなギターの音も私の範疇外だったのです。
ところが、ある日、そのような偏見はアルバム「ペットサウンズ」の「God
only knows」という曲によって見事に払
拭されることになるのでした。これはもう当時、直感で「すげーや」と思ったわけなのですが、バート・バカラックの
ようにすごいテクニカルなんだけど、それを誰もが共感する美しい曲として成立させているという点に驚くのです
な。つまり、裏地のすごく凝ってる服のようなテイストとでも言うのでしょうか。
いやいや、自分の苦手ジャンルの中にはひょっとするとものすごい「食わず嫌い名曲」が眠っているかもしれな
いというお話です。
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