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Jun 23, 2006 

■修理の名人

 
タジオ用のマイクというものは非常にデリケートに出来ていて、ダイヤフラムという薄い膜のような非常に繊
細なパーツが湿気や高い音圧によって損傷するケースがあるのですよ。

現在の大抵のメーカー修理というのはこのダイヤフラムを含んだパーツそのものを取り替えてしまうのですが、
古いマイクの場合、このスペアパーツがもう存在しないケースも多く、同じようなパーツを代用することによって
そのマイクの持つ音色自体が著しく変化してしまうということもあるわけですな。そこでこの修理の名人の存在
がクローズアップされるのです。

なんでもこのダイヤフラムの張り替えができるのは世界中でも数人しかいないらしいです。ドイツの有名メーカー
でも社内でこれを出来る人はすでにおらず、どうしてもという場合は外注するということです。いや、もうこういうピ
ンポイントの修理は絵画などを修復する人たちと同様、間違いなくアートの域に達してると思います。使い捨て
が当たり前の今日、とてもシンパシーを感じますな。

<<古典的傑作リボンマイク、RCA77DX。ドナルド・フェイゲンの「ナイトフライ」
のジャケにも登場しています。1950年代のスタジオ写真などではRCA44とと
もに実によく見かけるマイクで、コンデンサーマイクよりさらにデリケートな扱いを
強いられますが、近年、再評価されています。コンデンサーマイクのダイヤフラ
ムに相当するこのマイクのリボンの完全な張り替えが出来る人は世界に数人
という噂です。


>>こちらは近年、リリースされたRCA77DXのクローンマイクAEA R84。デジタ
ルの時代にこういう古典的なブツが復刻されるのは興味深い現象です。

岸正之ホームページ kishi masayuki on the web


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