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Oct 27, 2006 

■渡辺満里奈さんのボックスセット発売を受けて

 
辺満里奈さんのボックスセット「MARINA WATANABE ALL IN ONE」の12/20発売が正式にアナウンスされ
たので、今回は彼女のことについて少々。

当時、彼女の所属していたのがエピックレコードということもあって、通常のアイドル路線はやめようってことだっ
たんですよ。それで、王道の作曲家ではなく、若手でちょっと面白そうな人たちがセレクトされたんでしょうね。
編曲では、山川恵津子さんの仕事が初期のカラーを決定付けました。満里奈さんの音が普通のアイドルとは
ちょっと違っていたという評価はこの編曲による部分も大きかったと思います。山川さんのアレンジはこれでもか
これでもかとパートを詰め込んで構築するタイプではなく、引き算のアレンジだと思ってました。それが新鮮で、
洗練された印象を作ったんですね。

私が彼女の曲を作っていた時の心理状態はあまり覚えていないんですが、今、改めて聴いてみると、どうもジャ
ズ系の曲を作ろうとしていた片鱗も見えますな。でも、この方向性はディレクターなどから細かく指定されたもの
ではなかったような気がします。作家それぞれが自分のセンスで彼女に合う曲の方向性を模索して、その結果
、様々な切り口が出てきたのでしょう。

ヒットが前提となるシングルに比べ、アルバムは比較的何をやっても許される土壌があって、ある意味、実験場
みたいな場所だったんですよ。なので、作家がその時に本当にやりたいことが如実に現れる場所でした。それ
こそ、ここまでやっちゃってもいいのかなって思うぐらいのラディカルな曲も書きました。例えば、「次のページを
開いて」なんて、行きたいところへ行かせないような、いやがらせしてるような難しいメロ(笑)。おそらく、彼女の
持つどことなくインテリジェントな部分を表現しようとした結果がこんなメロになったのかもしれません。

ロックやポップスのエピックというレーベルイメージを決定付けたのは
佐野元春さんのブレイクでした。

岸正之ホームページ kishi masayuki on the web


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