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Jan 11, 2009 

■宇野誠一郎さんのこと

 
1960年代からテレビアニメなどの音楽で名作を数多く残している宇野誠一郎さんは大好きな作曲家です。

私が初めて宇野誠一郎さんの作品を聴いたのは、子供のころにNHKでやっていた「ひょっこりひょうたん島」(1964年)の主題歌だったと思います。大人になってからのある日、この曲を思い出してなにげなく弾いてみる
と、すごい作りに驚いてしまったのですよ。ブルーノートは出てくるし、転調はあるし、軽快でやさしい歌に聴こえ
るけれども、このワザの入れ方は尋常ではないと感じたのです。これを作った人はジャズにすごく精通されてい
るのかな、それともラテン系インストかな、少なくともこの曲に限ればアメリカンポップスのテイストではないな、などと色々と想像をめぐらせました。

次に手塚治虫さんのアニメ「ワンダースリー」(1965年)の主題歌。これに至ってはもう完璧ジャズです。シャッフ
ルのリズムでクローズドボイシングの4声ぐらいの男性コーラスなのですが、この内声の動きがすごくかっこい
い!最後の音のトップがナインスという音階に行ってるのですが、もしかすると私がナインスという音を刷り込ま
れ、こんなおしゃれな終わり方もあるんだぜと初めて教えられたのは子供のころに聴いたこの曲だったのかもし
れません。

子供向け音楽のフィールドでさらっとこういうことをされている宇野誠一郎さんや、また、これで行こうとゴーを出し
た当時のプロデューサーの志が高さには全く感服いたします。

<<レアで質の高いタイトルを復刻することで有名なレーベル、ウルトラ・ヴァ
イヴから作品集が2タイトル出ています。


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