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Jan 18, 2010 

■ひこうき雲の秘密

 
曜日にNHKBS2でやっていた『MASTER TAPE〜荒井由美「ひこうき雲」の秘密を探る〜』はすごく面白い
番組でした。

内容はユーミンのデビューアルバム「ひこうき雲」の16TRマスターテープをかけてユーミンをはじめ、当時の関係
者が集うというもの。細野さんがベースの他にガットギターを弾いていたというのは今回初めて知ったのですが、
そのガットギターが川添さん(キャンティのオーナー)から借りたものあったというのも初耳でした。

「ひこうき雲」のバッキングミュージシャンがイギリスの香りの全くしないキャラメルママであったというのも、興味
深かったです。これはおそらくプロデューサーの選択だったのでしょうな。キャロルキングとかA&Mとかそんなサ
ウンドに仕立てたかったのでしょう。これが当時の加藤和彦さん近辺の高橋幸宏さん、小原礼さん、今井裕さ
ん、高中正義さんなどというメンバーだったら、もっとブリティッシュで、ソリッドなサウンドに仕上がっていたかも
しれません。

あとは「ひこうき雲」を歌うはずだった雪村いずみさんや、ユーミンが追っかけをしていたというフィンガーズの
シーユーチェンさんにまでインタビューを取ってきたのは、今回初めてだったのじゃないでしょうか。このあたりの
丁寧な作りはさすがにNHKです。

で、ユーミンがいみじくも「今の若いミュージシャンは狭い部屋で打ち込みしか知らないのはかわいそう」という
発言がありましたが、確かに当時のレコーディングは今思うと、ものすごく贅沢ですな。いわゆるヘッドアレンジ
ですから、譜面には行き方とキメぐらいしか書いてなくて、あとは現場で話し合いながら決めるという方法ですの
で、スタジオ時間は膨大にかかるというわけです。

そういえば、1980年代中期の稲垣潤一さんのレコーディングが固定のバンドを決めてこのようなやり方をして
いて、わたしは当時、なんでそんなにバジェットのかかることをやっているのだろうと不思議に思っていましたが、
ディレクター氏がやりたかったのはこれだったのですな、きっと。

この番組は2月に再放送されるようなので、興味のある方は下記のリンクを。

http://www.nhk.or.jp/fm-blog/050/33586.html

岸正之ホームページ kishi masayuki on the web


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