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Mar 15, 2010 

■GS映画考

 
デオテープを整理していたら、録画したままでおそらく当時は見ていない映画などが出てきて、寝る前に少
しずつ見ています。

昨日、見たのは10年ほど前にnecoというチャンネルで録画したGS(グループサウンズ)の映画。GSというのは、
1967年〜1968年あたりにブームのあった日本のバンドの総称で、一時は100を越える様々なバンドが存在して
いました。その中でも特に人気のあったいくつかのバンドは主演映画も作られ、中にはスパイダースのようにシ
リーズ化された映画が作られたケースもありました。

こう言ってはなんですが、メージャーの映画会社にもかからわず、かなりいいかげんだったり、テーマがずれている作品も少なからずあって、バンドのメンバーもよくわからないでやらされている感が濃厚だったりもします。おそ
らく、プロデュサーが既成の映画の枠組みにムリにGSという新しい価値観を当てはめたことによって、このような
ちぐはぐな感じや的外れな雰囲気が醸し出されてしまったのでしょう。そんな中でスパイダースの映画はやはり
なかなか面白かったです。当時の最先端の風俗などもスパイダースはメンバー自らが取り入れている感があり
ますな。なにより「やらされている感」がしないこと。これが作られたGSと本物のバンドの違いかもしれません。

しかし、多くのGSに共通するフェミニンなイメージはやはり長髪からくるものなのでしょうかね。気弱でやさしげで
中性的な主人公に仕立てられているケースがかなり多いです。海外のバンドはこういうイメージはあまり感じな
いのですが。このあたりは、追求すると歌舞伎の女形などにつながる面白いテーマかもしれません。

音楽に関しては、やはりスパイダースが突出してかっこいいです。スパイダースは数多いGSの中でも洋楽的な
音楽を正確に理解していたバンドだと思うのですが、商業的色彩の強い歌謡曲テイストの曲をやってもスパイ
ダースはなぜか歌謡曲には聞こえないのですな。それは、他のオリジナル曲が強烈に洋楽的だったことと、歌
謡曲テイストの曲でもメンバーが演奏や歌をコントロールしているということに関係しているのだと思います。

 

岸正之ホームページ kishi masayuki on the web


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