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Nov 25, 2011 

■三島由紀夫の分析本

 
ょっと前に読んだ石原慎太郎氏による「三島由紀夫の日蝕」(1991年)。

石原氏は三島の7歳下ですが、三島の生前、何度か対談などをし、交流がありました。分析はかなり辛辣な
部分もありますが、三島の人物像を把握しようとするとこのあたりはどうしても避けては通れない部分なのでしょ
う。

印象的だった部分は、よく目にする日本刀に鉢巻で上半身裸のような演出過多の写真よりも、まだ、作家になるかならないかの官史時代の写真の表情が「不確定な青春のはかなさとそれ故の美しさがある」と述べているこ
と。石原氏はおそらく三島が目指してなれなかったもの、そのための様々な虚構の鎧を身につけていったことな
どに、相当、昔から気がついていたのだと思います。

巻末には1956年、1965年、1969年の3つの対談が収録されていて、時代によって三島の関心がいかに変化
していったかが手にとるように分かります。


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