■眠れる美女
川端康成の「眠れる美女」。
三島由紀夫は聖セバスチャンのトルソに幼少期から反応したということですが、川端はどうも若い女の「腕」に反
応していたみたいですな。「片腕」というまさにそのものの小説もありますが、他の川端作品の中にも腕の描写
が執拗に出てきます。これは川端が60歳の時の作品なのですが、こういう暗く深い設定とテーマは若い作家に
は決して書けないものだろうなと思いました。
この小説をモチーフにしてオーストラリア人の女性監督が作った映画が昨年公開された「Sleeping
Beauty」。気付いた時には、東京、横浜での短い上映期間が終わっていました。まあ、あの小説を映画化したものを見たい
か、見たくないかといえば、半々なんですけどね。以前、NHKで「片腕」をドラマ化したものを偶然見たのですが、
あれも腑に落ちなかったです。第一、あれを怪談とするには無理があるでしょう。
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