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Sep 5, 2012 

■青い風のビーチサイド

 
本典子さんの1985年リリースのシングルです。この夏に1986年のライブがDVDで発売され、この曲を覚え
ている人も多いようなので、回想を書きとどめておきます。当時、3ヶ月ローテーションといって、3ヶ月に一枚シン
グルを出して、その間にアルバムも作っていたのですから、アイドルというカテゴリーは勢いがありました。

「青い風のビーチサイド」はアルバムに先立つシングル候補の1曲として録音されましたが、録音が終了した時
点でこれをシングルにしますという最終的な決定が出ました。サビの3,4小節のメロディが繰り返しでは異なるの
ですが、これはオケが出来てからの変更でした。変更した理由は1回目に伏線を置いて、2回目で強いフックに
なるように計算したのだったと思います。

ところがディレクターはアレンジ上まだ何かが足りないと思っていたらしく、これにコーラスを入れてくれないかと
いうオファーが来ました。アレンジャーの船山氏もコーラスを追加することを了解しているということだったので
引き受けました。

アレンジ譜をもらって、譜面を書いて、木戸やすひろさんとふたりでコーラスをダビングしました。当時、レコーダ
ーはアナログの24トラックだったので、空きトラックの中で何度かピンポンしたのだと思います。コーラスの英語
詞(feeling blue/you feel my love in your heart/I feel your love in my heart)は、作詞家が書いたものです。
確か、イントロ、曲中、コーダのギターもシングルに決定してから、アレンジを派手にしようとダビングしたのだっ
たと思います。音を聞くとあのギターは松原正樹さんかな?イントロの9小節目からコーラスが入ってきますが、
元はこの部分にもコーダのようなギターがあったのでしょう。

とにかく、アルバムを含めて、あのレコーディングはいい雰囲気でとても楽しかったです。スタッフも若かったし、
作家たちもこれからブレークするぞっていう勢いがありました。あまり船頭が多いと事が進まないので、作家をレ
コーディングに呼びたがらないディレクターもいるのですが、この仕事のディレクターは作家が立ち会うのを好む
タイプでした。実際、歌入れなどではその場で直しがあることのある作詞家はともかく、作曲家は別にすること
ないんですよ。

 

 


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