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Sep 24, 2012 

■「黒部の太陽」を観て

 
るほど、これは大スクリーンで観る作品だと思いました。

そもそも私がこの映画に興味を持ったのは、石原慎太郎氏の「弟」という小説でした。この中に「黒部の太陽」
をなんとかして形にしようと奔走する石原裕次郎さんと慎太郎さんのエピソードが出てくるのです。当時の映画
界には五社協定というものが存在し、日活の石原裕次郎さんと東宝の三船敏郎さんの共演などはほとんど実
現不可能な企画でした。映画会社の既得権益を守るために作られたこの五社協定に真正面から異を唱え、あ
らゆる手を使って関係各所を説得し、作られたのがこの映画だったのです。

そのようなバックグラウンドを知っていると、トンネルのためにあらゆる困難に立ち向かっていく男たちと、現実
で旧態依然とした映画界の悪習をぶち壊さんとする石原兄弟がだぶって見えるのです。ちなみにこの交渉を
進めている時、慎太郎さんも裕次郎さんもまだ30代前半。あの時代の人は本当に大人です。

 


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