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Jun 21 ,2013

■Zarenbourgを弾いてきた

 
5年ぐらい前から楽器ショーには出品されるのに、一向に発売されなかったドイツの楽器メーカーWaldolfのZarenbourg(ザレンバーグ)でしたが、ついに発売のアナウンスがありました。そして、まだ日本に2台しか入ってきていないというデモ機を弾いてきました。

外観は超アナログでLCDディスプレイさえありませんが、中身はモデリングなどの最新技術が使われているとのこと。内蔵のモニタースピーカーは前面に2個の他、本体下側にウーハーが仕込まれています。そのためでしょうか、重量は38kgあります。形は結構奥行きがあり、最小限のDTMシステムなら、このハウジング部分の上に全部セッティングできそうです。音色はローズ2種、ウーリー、グランド、エレクトリックグランド、FM、クラビネットの7つですが、ストリングスもレイヤーできるようです。鍵盤はイタリアfatar製で、これはノードもそうでしたね。

ここからが私の独断の感想。鍵盤はやや重めだと感じました。音色はエレピ系がすごくリアルに作りこまれているので、この楽器はエレピに特化した楽器であると見てよさそうです。2種のローズとウーリーあたりがスイートスポットで、普段はあまりチェックしないFM(DXのエレピ)も、芯のあるトーンでなぜかとても新鮮に聞こえました。LCDなしでもロータリースイッチで項目を切り替えて、横のつまみでパラメーターの値を決めるという操作は慣れれば特に難しくはありません。考えてみれば、LCDというものが楽器に普通に搭載されるようになってから、それまで視覚的に理解できたコントロールが一挙に煩雑になり、プレイヤーにオペレーターの知識を強いる状況が生まれたのかもしれませんな。そう考えると、あえてLCDを使わなかったコンセプトは非常にプレイヤー寄りだと言えます。そして、最近、コルグなどがこのようなレトロデザインの機種を出していますが、デザインはレトロで、中身は最新という方向性も今後のキーボードのひとつの流れになるかもしれません。

最近のキーボードは楽器なのか、機械なのか判断に迷うものもあるのですが、Zarenbourgのたたずまいは間違いなく楽器のそれだと感じました。

 

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