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Jul 4 ,2013

■経年変化

 
珀のような色のこの物体。実はこれ、40年以上前のギターに付いていたピックガードです。元はやや透けた濃い赤茶色だったはずですが、セルロイド系の材料であったために経年で変質し、収縮による無数のクラックが入り、手で簡単に折れるほど崩壊寸前の状態です。

これはセルロイドを使っていた時代の古いギブソン(ダブとかフルアコ系)のピックガードやペグ、グレッチのバインディングなどでよく見られる現象なのですが、変質の過程で出るガスが接触している部分に悪影響を及ぼすということなので、症状が悪化する前に交換が必要です。

もうひとつ。経年で起こる塗装の白濁。これも同じメーカーの楽器でも出る個体と出ない個体があります。この原因には諸説ありますが、メーカーのアナウンスによれば塗料に入っていた特定の添加剤と水分の化学反応とのことです。この12弦ギターは1980年代後期のもの。ダークな塗装部分は特に目立ちますが、音や機能に影響するものではないので放置します。

そして、塗装のクラック。ラッカー塗装の楽器特有の現象です。多くが温度の変化によって発生するのでウェザーチェックなどとも呼ばれます。まあ、エイジドとかレリックとかいって新しい楽器にわざわざクラックをつけて古く見せる方法があるぐらいですので、これもこの程度なら問題ないと見ていいと思います。放置です。

 
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