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Sep 16 ,2013

■潮騒

 
在、台風通過中で外はすごい嵐なのですが、そんな中で映画「潮騒」を観ました。

ずいぶん前に三島由紀夫の原作を読んだ記憶がありますが、その時は三島にしてはなんて健全な物語なんだろうと思いました。少々ひねくれた見方をするなら、三島が万人受けする単純明快なこういう作風なら寝てても書けますよと書いた気さえしたのです。いずれにせよ、このぐらいのグレードの作品をさらっと書いてしまうあたりが当時の三島が作家として脂が乗り切っていた時期だったのでしょう。

さて、映画の方。過去に何度も映画化されていますが、今回観たのは1964年日活の吉永小百合さんのバージョンです。本にはないまむしに噛まれる場面とか、設定の違う場面はあるのですが、最後まで一息に観てしまうのは、やはり物語がシンプルでなんとも分かりやすいからなのだと思います。終戦からまだ10年経っていない時期に書かれた原作が今でもこれほど心を打つのですから、人の心の有様は半世紀前も今もそれほど変化していないのかもしれません。

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