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Mar 31,2014

■近松物語

 
この映画はぶっとびました!溝口健二監督の1954年の作品。香川京子さんを日本の巨匠監督がこぞって指名する理由がこの映画を観て大納得しました。ラストシーンでの香川さんの表情・・・。

原作は300年前に活躍した近松門左衛門の本。金の事で問題が起き、男女で逃げるという構図は同じ近松の「曽根崎心中」にも似ていますが、曽根崎が死ぬために逃げるのに対して、これは生きるために逃げる点が大きな違いです。人間の業、特に女性の情念の描き方は女性主題の多い溝口監督ならではのもので、男映画がほとんどの黒澤監督作品との対比が際立っています。

早坂文雄さんの音楽も見事としか言いようがありません。ほとんど自己主張することなく、川の流れのように場面に溶け込んでいます。同じ時期に早坂氏の手がけた「七人の侍」とは真逆の手法です。

 

 
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