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Jul 12,2014

■逆転の発想

 
日、NHKでゴジラの音楽における伊福部昭氏の特集をやっていて、かなり興味深い話がありました。

例のあのドシラ・ドシラというテーマ音楽について、本来ならチェロの方が良く響く低い音域をあえてバイオリンに弾かせていたという話。これを聞いて、そういえば、同じような話があったと思い出したのが、黒澤明監督の「用心棒」の音楽。担当したのは夭折の作曲家、早坂文雄氏の弟子で、日本を代表する数々の映画音楽を手がけた佐藤勝氏ですが、この「用心棒」でも本来ならトロンボーンの方が響く低い音域をあえてトランペットに担当させたり、低いチェロのフレーズをビオラで弾かせたと本で読んだことがあります。

つまり、どちらも普通にきれいで、シャープなオーケストラの音ではなくて、ダルダルというか、ちょっとはずれたラフな音にするためにこのようなことをされたと思うのですが、素晴らしい映画に仕立て上げるために、多くの優れたクリエイターが細心の部分にこだわっている舞台裏を垣間見たようで感動しました。おそらく、後世に残るような作品の陰には文章にならなかったこのような話がごろごろあるのでしょう。
 

 
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