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Aug 20,2014

■「雨月物語」の逆再生

 
響の効果を作り出すテクニックで逆再生という方法があります。これは録音したものを逆方向に再生することによって特殊な音を得る方法で、ポップミュージックの世界ではビートルズの'Rain'とか'I'm Only Sleeping'(1966年)あたりから世の中で認知されたということになっています。

ところが、映画音楽の世界ではビートルズより10年以上前の時代から行われていた手法だったようです。1953年公開の溝口健二監督の「雨月物語」。音楽はこの時代の日本映画になくてはならない早坂文雄氏で、和楽器を前面に押し出した素晴らしいものですが、そこで逆再生が使われています。

物語の終盤、体に魔よけの梵字を書いてきた源十郎に右近が「その肌につけたものを取り出せ」と言うシーン(1:16あたり)の後、鐘かドラのような音の逆再生の音がSEとして使われて効果を上げています。おそらく逆再生するスピードもコントロールして絵とぴったりと合う長さ、音質に仕上げてあると思われます。

 
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