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Dec 20,2014

■年末映画放談

 年も多くの映画を観ましたが、その中で特に印象に残った作品を3つ挙げるとすれば、

まず、「近松物語」(1954年 溝口健二監督)。これは本当に驚きました。黒澤明監督の「羅生門」を観た時も相当驚きましたが、「近松物語」もそれに匹敵する揺さぶられようで、よくぞこんな作品を世に残してくれましたとありがたい気持ちにさえなりました。おそらく、私の生涯でベスト3に入る映画だと思います。これを観てからしばらく溝口監督作品にはまっていました。

次に「デルス・ウザーラ」(1975年 黒澤明監督)。私にとっては30作品ある黒澤映画の最後に見た作品です。1950年代のアグレッシブでテンポのある黒澤作品に比べれば、かなり渋い味わいですが、静かな中に一本芯の通った強いストーリーがじわじわきました。黒澤映画は観終わった後に心が洗われるような感情になるものが多いのですが、これも例外ではありませんでした。

最後に「千と千尋の神隠し」(2001年 宮崎駿監督)。今までなぜか敬遠していたジブリものですが、これを観て考えが全く変わりました。素晴らしいのひとことです。なぜかわからないけれどすごくせつなかったり、じわりときたり、これはちょっと説明できない感覚でした。同じような感覚といえば、ピンクフロイドが音の断片のようなものを曲の中にちりばめて、ある種の感情を引き起こすのにとても近いと時間が経ってから思いました。

来年もたくさんの名作に巡り会えるといいなぁ。

 

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