■TEXT

Jun 14,2015

香川京子さんトークイベント

 月から楽しみにしていた香川京子さんのトークイベントへ行ってきました。いや、週末の鎌倉、人すごいです。小町通りが満員電車のようでした。

香川さんは日本映画の黄金期に中核にいた女優さんとして、また現在でも精力的に活動されている方として、私にとってはまさに伝説のような存在です。そのご本人が目の前で出演作について解説して下さるのですから、これほどのぜいたくな時間はありません。

「猫と庄造と二人のをんな」の香川さんの水着が赤であったという話、同映画の山田五十鈴さんとのバトルシーンで予期せぬところにパンチが当たり、途中から山田さんが本気モードになったという話、「近松物語」で当初、香川さんは南田洋子さんの役であった話、同映画で京都弁など浪速千栄子さんに大変世話になった話、「どん底」の時、昔の長屋の雰囲気を俳優さんに知ってもらうために監督が志ん生師匠を呼び、長屋ものの落語をやってもらったがみんな勉強のために聞き入って全然笑いが起きなかった話、黒澤監督のマルチカメラ、ワンシーン、ワンカットのやり方はカメラを意識せずに演技できるために香川さんはやりやすかったという話、結婚してから初の映画であった「赤ひげ」の撮影時に妊娠4ヶ月であったこと、淀川長治さんが編集長であった雑誌「映画の友」の映画世界社の社長が、カメラマンとして名高い早田雄二さんのお兄さんであったという話、経営状態が悪化していた東映が「ひめゆりの塔」のヒットで一躍回復した話、などなど興味深い話が目白押しでした。

とにかく、あの映画で見る情熱はどこにあるのだろうと思うほど、トークイベントでの香川さんは上品で常識的な方という印象でした。また、ご本人も女優以外では全く普通にしていたいとおっしゃってました。それゆえ、実生活とは正反対の激しい気性の役を振りたくなる監督の気持ちがちょっと分かります。

ちなみに客席に黒澤映画のスクリプターとして有名な野上照代さんがいらっしゃってました。女優さんらしきオーラを放つ方もちらほらと。そして、鎌倉駅ホームであがた森魚さんを目撃しました。あがたさんも当日、鎌倉でトークイベントがあったようです。

■■■■■■■■ kishi masayuki on the web


<<   
TEXT MENU   >>

HOME