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Jun 21,2015

■キング音羽スタジオの思い出

 生時代に初めて録音したプロのスタジオは音羽にあったキングレコードのスタジオでした。記憶では壁の吸音材がポツポツの穴の開いたもので、当時でもずいぶんとクラシックなスタジオだなと思ったものです。

それから10年ぐらい経って誰かのレコーディングの立会いで再度行ったキングスタジオは、機材こそアップデートされていたものの、ポツポツと穴の開いた吸音壁は昔のままでした。さらによく憶えているのは、そこにあったピアノが珍しいベーゼンドルファーだったことです。ピアノは普通88鍵ですが、そのベーゼンドルファーには低音側にエクステンドの鍵盤が付いている92鍵仕様で、そのエクステンド鍵盤には通常は弾けないように蓋が付いていました。私の知る限り、他のスタジオでこのような仕様のピアノは見たことはありませんでした。

ちなみにキングレコードぐらいの老舗スタジオになると、昔、新品で購入した機材が知らない間にビンテージになっていたというケースも少なくないらしく、ビートルズが使っていた機材としてもはや伝説となっているフェアチャイルドなども普通にあって、それは某有名ミュージシャンがぜひ欲しいと購入していったとのことでした。

懐かしい音羽スタジオはもうありませんが、数々の名演で使われたこのベーゼンドルファーはキング関口台スタジオに移設され、まだバリバリの現役だそうです。


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