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Jul 2,2015

魔法の黄色い靴

 っとチューリップのデビュー曲は「魔法の黄色い靴」(1972年)だと思っていましたが、実はその前にもう一枚「私の小さな人生」(1971年)というシングルがあったことを最近、初めて知りました。

「魔法の黄色い靴」については編曲の武部聡志さんとあれ、すごい曲だったよねなどと話したことがありましたが、確かに当時の日本の音楽シーンの基準を考えても、ものすごくチャレンジャーな曲だった思います。同じくチャレンジャーな曲といえば、ユーミンのセカンドシングル「きっと言える」がありますが、「魔法の黄色い靴」の方が1年リリースは早いのでした。「1970年代に日本の音楽シーンにインパクトを与えた曲コンテスト」でもあれば、間違いなく入る1曲だと思います。

当然ながら「魔法の」は'magical'、「黄色い」は'yellow'、「靴」は'shoes'とビートルズの'magical mystery tour'、'yellow submarine'、'old brown shoe'から来ているわけですが、それも含めてチューリップはビートルズライクなバンドですよとアピールした名刺的なシングルだったのだと思います。もしも、当時この曲がヒットしていれば、その後のチューリップの音楽性もかなり変わったものになっていたと思いますが、残念ながら、ヒット曲の基準の既成の壁は簡単には破られませんでした。けれど、こういう曲があったからこそ、その後の音楽シーンで生まれる曲の自由度が増したのは紛れもない事実だったと思います。ちなみに、この曲のレコーディングの時、同じ東芝だった小田和正さんが見ていて、頭のコードが全然変わらない不思議な曲だと思ったそうです。

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