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Oct 7,2015

■藤田嗣治展

 しくなってきましたね。半袖の外出も今シーズンは最後かもしれません。東京国立近代美術館で開催中の「藤田嗣治、全所蔵作品展示。」をようやく観に行くことができました。

やはりハイライトは藤田の戦争画14点が一挙に展示されたことで、画集でさえ観たことのない作品もありました。戦争末期に近づくに従って、絵全体のトーンが恐ろしく暗くなっていくのが印象的で、数点はまるで露出の全く足りない写真のような暗さです。あまりの暗さに全体を見ると、何が描いてあるのが分からないのですが、近くで目を凝らして見ると、細かな描写や人間像に圧倒されます。前回も思いましたが、やはり「サイパン島同胞臣節を全うす」は鳥肌です。

もうひとつ興味深かったのは、藤田の監督した短編の映画を観られたこと。これは戦前、日本を海外に紹介するために国の依頼で製作されたドキュメンタリーのような作品ですが、藤田の描いた日本の子供たちの姿があまりにも貧しい印象を与え、国辱的だというので、お蔵入りになったということです。内容は田舎の子供たちの遊びに焦点を当てたもので、私はちっとも国辱的という印象は受けなかったのですが、チャンバラごっこで子供がハラキリのまねをするあたりがまずかったのかなとも思いました。


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