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Nov 7,2015

■改造ローズ

 日、楽器店へ立ち寄ったら、興味深いローズピアノが売ってました。モノは今やタマ数も少なくなった1977年製の後期mk-1のステージ。弾かせてもらうと、mk-1独特の柔らかいタッチ、出音のバランスも均一で、このままレコーディングに使えそうな上質な音色。ここまで仕上げるには、おそらく相当手を入れたと思われます。そして、このローズには見たこともない改造が施されていました。

通常、ステージに施される改造といえば、プリアンプを追加するか、エフェクターを入れるといったものですが、このmk-1ステージにはノブやアウトプットが増設されており、店員さんに聞くと、マスターボリュームの他に低音部と高音部を個別に調整できる2個のボリュームと、さらに5段階のロータリートーンセレクター(ギブソンのバリトーンスイッチのような?)と3段階のロータリセレクター(ステレオアウトの際にどの鍵盤でLRを分けるかのセレクター?)、だということでした。驚くことにここまでの回路は全てパッシブ、つまり電源を必要としないのです。さらにバランスアウトとステレオアウトが追加され、その左にモードを表示するためのLEDを点灯させるミニスイッチがあり、中を見せてもらうとそれだけのための9Vのバッテリーコネクターがありました。そして、カバーの裏にはシールドのためのアルミシートまで貼ってありました。

前オーナーはおそらくステージをどうしてもステレオにしたかったのでしょう。しかもパッシブで!即実戦でも使えそうな出音のチューンアップ加減を見ると、やはりプロのプレイヤーが必要に迫られて行った改造だと思わざるを得ません。それにしても、全部同じデジタル楽器に比べ、一台一台個性のあるローズのなんと楽器らしいこと!

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