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Nov 11,2015

■1960年代アニメ音楽考

 日、偶然ネットで1960年代のアニメ、「マイティ・ハーキュリー」の音楽を聴いて、この音楽を作ったのは誰だろうと調べると、海外のウィンストン・シャープレスという作曲家の作品でした。「フィリックス・ザ・キャット」のテーマもこの人の作品だそうです。1960年代のアニメ音楽で面白いのは、海外ものでも日本独自で音楽を製作しているケースが多く、そのあたりの解釈の違いがかなり興味深いのです。

例えば、前述の「マイティー・ハーキュリー」(1963年)は海外オリジナルと日本版では曲とアレンジの方向性はほぼ同じですが、日本版では曲の最後の方のメロディーが一部省略されています。また、大きく異なるのはオリジナルが力強い男性シンガーなのに対し、日本版は少年少女合唱団です。

「少年シンドバッド」(1965年)はオリジナルと日本版では音楽が全く異なり、オリジナルはジャズっぽいコーラスもの、日本版はなぜか2タイプあり、時代を反映しエレキギターをフューチャーしたバンドっぽい曲と、マーチっぽい少年少女合唱団ものでした。これはほぼ同じ歌詞で、なぜ2タイプ作られたのかは経緯を知りたくなります。ちなみにこのバンドバージョンを歌っていた男性ボーカルのひとりが安岡力也さん。クレジットではフォアジェッツとなっていますが、演奏は相当うまいのでスタジオプレイヤーだと思われます。

また、逆に日本がオリジナルで有名なのが「マッハGO!GO!GO!」(1967年)。海外では"Speed Racer"というタイトルですが、曲だけ聴くと「ファシ抜き」のかなり和風メロディー。日本オリジナルはストリングス、ブラス入りで、力強い男性コーラスのかなり豪華なアレンジ(この間奏は子供の頃から大好きでした)。一方、海外ものは曲はほぼ同じで、もっとこじんまりしたアレンジのジャズテイストの男性コーラス。後半に日本のオリジナルにはないファシありのメロがくっついているという具合。日本ものが映画音楽のようなスケール感を狙っているのに対し、海外ものはややコミカルで軽い仕上がりになっており、このあたりも日米の解釈の違いが如実に出ています。


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