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Mar 21,2016

■悪貨と良貨

 1980年代の話ですが、イギリスに友人がおり、中古レコードでアップルレコード関連とビートルズものがあったらなんでもいいから買ってきてと頼んでいたのです。当時、日本ではビートルズ以外のアップルアーティスト(バッドフィンガーやメリー・ホプキンなど)は入手困難でした。

その時、買ってきてもらったレコードの中にあった一枚がVEEJAYレーベルの'Introducing The Beatles'。ビートルズはアメリカでレコードをリリースする際、まだ大御所のキャピトルレコードではなく、このVEEJAYというマイナーレーベルから最初のアルバムをリリースしました。そして、ほどなくして廃盤になったので、このアルバムはレア盤となったのです。ビートルズ、レア盤といえば、当然、ニーズがあるので、ブート業者も見逃すわけはなく、膨大な数のカウンターフィット(正規版からジャケット、音源など全てをコピーしたブートの一種)が市場に流れました。世界中に出回っている'Introducing The Beatles'の半分はカウンターフィットという説さえあります。

イギリスのコベントガーデンで入手したという私の'Introducing The Beatles'も残念ながらカウンターフィットでした。レーベルに印刷されたタイトルとグループ名がレコードの穴を境に離れていて、周りのカラーバンドの印刷にずれがあり、細い部分と太い部分があるのがカウンターフィットの典型的な特徴なのだそうです。ただし、この特徴にあてはまらない、本物と同じレーベルでもカウンターフィットは無数に存在するとのことです。


 

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