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■古い邦画の楽しみ

 
1950年代〜60年代の邦画が好きでよく見ます。ジャンルは時代劇でなければなんでもという感じで、特に東宝系の1960年代モノは見る機会が多かったです。

ある日、なんでこんなに昔の邦画が好きなのだろうと考えてみたら、実は1960年代の街の風景も楽しんでいるのですな。例えば、青山にその昔あったスーパーマッケット「ユアーズ」はこんな雰囲気だったのかとか、箱根の
ホテル「龍宮殿」の芦ノ湖側の土手の地形はほとんど今と変わらないとか、そういう見方をしたりしているのです。つまり自分の中に記憶としてかすかに残っている街の記憶の確認をしているのですね。

子供の頃、よく遊んだ場所のそばにスペイン風の洋館があったのです。それは小高い丘の上にあり、下の門から左右に車寄せに続く坂道があるというたいそう立派な作りでした。元々は個人のお宅でしたが、そのうち貸し出されて一時はレストランとして営業していたこともありました。この洋館が石原裕次郎さん主演の映画「陽のあたる坂道」(1958年)のロケに使われたということは知っていましたが、実際にその映画を見たのは比較的最近のことです。

「陽のあたる坂道」のオープニングなどで登場する邸宅の門付
近の現在の姿。
映画で登場する邸宅はもうありませんが、かろうじてこの付近だけは当時の雰囲気を残しています。
右に写っている大谷石の門柱の侵食具合が時の重みを感じさせます。

                                                         2002/12/26

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