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Oct 5,2016

■ミスリム

 近、寝る前によく聴いているのがNHK-FMの深夜0時から始まる「夜のプレイリスト」。昨日はパーソナリティが泉麻人さんで、ユーミンの「ミスリム」(1974年)が全曲かかりました。

このアルバムを全曲通して聴いたのは高校生の時以来かもしれません。当時、「海を見ていた午後」を聴いて、詞の中に出てくる「ドルフィン」という店が実在していて、しかも、それが学校から徒歩で10分もかからない場所にあるということを知り、O君と学校の帰りに行ったのを懐かしく思い出します。

さて、「ミスリム」を久々に聴いて、自分がユーミンの詞や曲だけではなく、声も好きだったのだなということを思い出しました。特にあまり歌うことを意識していない、語っているような「旅立つ秋」のようなボーカルはいいです。それがあやうげで、淡く消えてしまいそうな詞とからみあい、一見乾いているように見えて、実は相当湿っているというのがこのアルバムの特色であったと思います。

ユーミンは翌年の1975年に「あの日にかえりたい」でブレークして、一躍時の人になりますが、売れるということは切り捨てるものや、失うものも多いことと同義。もしもユーミンがこの「ミスリム」の時代のように知る人ぞ知るという感じのシンガーソングライターであり続けたなら、どんな作品を残していたのだろうと思うことがあります。


 

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