■年末映画放談
今年もたくさんの映画を観ましたが、その中で特に印象に残った作品は以下です。
河内山宗俊(1936年)
現存する山中貞雄監督の3作品はどれも大好きですが、本作は若き日の原節子さんが出演されていることでたびたび話題になります。前半のコメディタッチでゆったりと進む物語は途中から一気に深刻さを増し、テンポが上がり目が離せなくなります。この先、一体どうなるんだろうと身を乗り出して観ているとなんとバッサリとエンディング。同監督の「人情紙風船」の最後もバトルの直前で場面が切り替わるのです。何か唐突だなと思い、調べてみるとこれは戦後の占領期にGHQが施した検閲なのだそうです。それを差し引いたとしても、山中監督の人情の機微を描く感性は鋭いです。
百円の恋(2014年)
これはぶっとびました。主演の安藤サクラさんなしでは成立しなかった作品だと思います、安藤さんが肉を食べながらブツブツ言ってるシーンなんて本当に好きで、何度観直したことでしょう。これを観た後、安藤さんにはまってしまい、多くの出演作品を観ましたが、やはり本作品の安藤さんが群を抜いて素晴らしいと感じました。脇を固めた俳優さんたちも素晴らしく、ボクシングのコーチ役の松浦慎一郎さんなんて本当のコーチかと思いましたし、コンビニ店員で最後逃げてしまう役の坂田聡さんも自然過ぎて逆にこの人は普段役者さんじゃないんじゃないかと調べたりしました。百円生活のおまぬけなテーマ音楽や、劇中のトレーニングシーンで使われる音楽も秀逸。唯一気になったのは若手のアドリブと思うような超自然な演技と作りこんで演じているベテラン俳優さんたちの演技がややかみ合っていない点でしょうか。その点でいえば、安藤さんのもうひとつの代表作「0.5ミリ」(2014年)での安藤さんと吉本の芸人さんだった井上竜夫さんとの掛け合いはすべてがアドリブかと思うほど自然でぴったりとはまっていました。
シン・ゴジラ(2016年)
観た直後の感想
**************************************************************************************
TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ(2016年) 安定のクドカンの中学生のようなシモネタ(笑)とハイテンションぶり。こっちも覚悟して入り込んで観ないと置いてきぼりを食らいます。大笑いしたのはしつこく2回出てくるイヌが宮沢さんの足にからむシーン。観終わってからサイトを見て、近藤の元カノ(あだ名・死神)が尾野真千子さんで、閻魔大王が古田新太さんだったのだと初めて分かりました。
愛と誠(2012年) 昔の深刻な愛と誠とは大違いのコメディ+ミュージカル仕立てリメイク版。これの安藤サクラさんもすごくいいです。緊張感のある映像のエフェクト、編集、歌もよし。
こまどり姉妹がやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!(2009年) マニアックな音楽ものの多いアルタミラ作品。期待通りのクオリティ。
|