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 May 23,2017

■シン・ゴジラの原知佐子さん

 日、BS12の「傷だらけの天使」の第4話を観ると、池部良さんのアウトロー役の演技があまりにうまく、ショーケンさえ食っているなと思い驚きました。その後、「乾いた花」(1964年)という昔の映画を観て、これも池部さんのアウトロー役が光っていて、とても印象に残りました。池部さんといえば、私感ではちょっと線の細い二枚目、またはまったく非の打ち所のない好青年役という印象でしたが、「乾いた花」を観てその考えが変わりました。1950年代の映画で言えば、例えば上原謙さんはどんな役をやっても上原謙というパブリックイメージの壊れない人だと思うのですが、池部さんはアウトローを演じると凄みを感じるほど見事になりきっているのでした。これを見抜いて、それまでにない役を池部さんに振った監督もすごいのですが、期待以上の演技で応える池部さんの幅広い役作りの解釈にも驚くのでした。反面、文芸系作品でも実績があり、クリーンなイメージの池部さんがこのような役を引き受けたこの時代の日本映画界全体の斜陽化、変質にやや痛々しさも覚えます。

ところで、その「乾いた花」で少々癖のある女性を演じていたのが原知佐子さん。1950年代〜60年代の映画で確かに見覚えのある方ですが、その人がなんと「シン・ゴジラ」(2016年)に出演されていたのこと。これは伊丹十三監督の「お葬式」に吉川満子さん(戦前の小津作品などで欠かせない存在だった女優さん)が出ていたぐらいすごいことではないですか。こういう点でもいかに「シン・ゴジラ」の監督が古い日本映画に敬意を払っているかがうかがえるのですが、そのシーンをネットの力も借りつつ探してみると、ありました!

スタートから27分あたり、ゴジラに対し初めて自衛隊が出動してヘリコプターで攻撃しようとするシーンです。逃げ遅れた民間人がいるために、この攻撃は中止になりますが、その民間人役、踏み切りを背負われて渡っていた老婆の役が原さんです。

ちなみに最後の出演者クレジットには「小川真由美」の名前もありますが、この人は女優さんと同姓同名のアナウンサーの方だそうです。

 

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