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 Sep 7,2017

■浜松中納言物語

 前から読んでみたかった「浜松中納言物語」(日本古典文学大系)を偶然古書店で見つけ、ゆっくりと読み始めています。この翻刻校訂を行った松尾聰氏という古典文学研究者は三島由紀夫の学習院高等科時代の先生で、付属していた小冊子に三島が序文を寄せています。さらに三島の学友であった三谷信氏の著作「級友 三島由紀夫」には松尾聰氏が序文を寄せています。

さて、「浜松中納言物語」。冒頭の松尾氏の解説の部分から実に興味深いです。現存するのは首巻を欠いた五巻で、その第五巻目を考証によって発見し、さらに様々な写本の形態を体系的にAからEまでに分類したのが松尾氏で、Aに近いほど脱落個所が少なく、原本に近いということです。

三島の遺作「豊穣の海」が「浜松中納言物語」から着想を得たことは有名ですが、なるほどよく似た部分があります。中納言が宮様に嫁ぐことの決まった姫と契りを交わし、姫が妊娠し、その後剃髪、出家するところなど、「豊饒の海」第一巻「春の雪」の展開そのものです。

 

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