■土屋嘉男さんを偲ぶ
東宝系の映画によく出演されていた土屋嘉男さんがこの2月に亡くなられていたことを知りました。
土屋さんといえば「七人の侍」で燃えさかる民家から出てくる利吉役がまず思い浮かぶのですが、それと同じぐらい印象的なのは数々の東宝の特撮映画での名演技です。中でも「怪獣大戦争」(1965年)の悪役である統制官は忘れられません。
「怪獣大戦争」は地球侵略を狙うX星人が地球防衛軍と戦いの末に破れるというSF映画の典型的な物語ですが、これが観た後に何か悶々としてしまうのです。その理由は統制官を演じた土屋さんの存在感がありすぎて、ともするとX星人側に感情移入してしまうからなのでした。特に地球側の攻撃により爆発寸前の宇宙船で指令を出す土屋さんの演技は本来のこの映画の意図するところをずらすほどの凄みがあります。
大好きな俳優さんでした。以前、読んだ土屋さんの著書をもう一度読み返してみようと思います。
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