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■ヘフナー倒産 昨年末のニュースでちょっと驚いたのは、ポール・マッカートニーの愛用ベースとして有名なあのヘフナー社が倒産(正確には暫定破産管理)したとの報。 そもそも、無名時代のマッカートニーがヘフナーのヴァイオリンベースを選んだ理由は、フェンダーは高くて買えず、たまたまヘフナーが安価かつ、左右対称のボディシェイプでサウスポーモデルがあったということでした。 ちなみに同じ時代にレノンもハリスンもヘフナーのギターを購入していますが、このふたりはちょっと稼げるようになると誰もが憧れたアメリカ製のギターに持ち替えました。ところが、ポールはこのピッチさえあやしく、壊れやすく、古色蒼然としたコントロールパネルを持つヘフナーをビートルズ時代はおろか現在でも愛用しているのです。 ビートルズ末期のゲット・バック・セッションの中にはハリスンがマッカートニーにまだそんなベースを使っているのかとからかうような場面もありますし、リハーサルでプロデューサーのグリン・ジョンズからベースを変えてくれないかと言われ、リッケンバッカーにシフトするシーンもあります。それでもハイライトのルーフトップ・ライブではこのピッチのあやしいヘフナーをポールは使うのです。末期のビートルズは容貌も使用楽器もかつてとは全く変わり、ファブフォーと呼ばれた時代と変わっていないのはマッカートニーの使うヘフナーのみでした。 軽量というアドバンテージはあるものの、ヘフナーをこれほど長くメインで使用しているベーシストはマッカートニー以外にはいません。さすがに1970年代から1980年代の終わりまでは他のベースがメインの楽器となりましたが、1980年終わりにコラボしたエルヴィス・コステロに促され再び使い出し、現在に至るのです。 もしも、マッカートニーがこのベースを選んでいなかったら、ヘフナーという楽器メーカーはとっくの昔に消滅していたはずで、むしろ、浮き沈みの激しい楽器の市場で、主力商品がヴァイオリンベースのみでよくここまで持ちこたえたなというのが正直な感想です。 フェンダー傘下に入り息を吹き返したグレッチのような復活を願うばかりです。 (写真上は1965年12月のミュージックライフ誌に掲載されていたヘフナーの広告。同じ雑誌に掲載されていた山野楽器の広告によればフェンダーのジャズベースは17万円とあるので、ヘフナーの5万4千円は輸入楽器としてはお買い得だったのかも。マッカートニーがヘフナーを買った1961年のハンブルクではフェンダーはヘフナーの3倍以上の価格だったという証言とも合致しています)
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