■タランティーノと1970年代
タランティーノ監督の作品には1970年代へのオマージュがたくさん出てきますが、極めつけが「デス・プルーフ」(2007年)です。
何の説明もなしに観たら、たいていの人はこれが2007年の映画だとは思わないでしょう。それほど、この映画は徹底して1970年代B級作品風に作られています。例えば、タイトルクレジットの字体や、フィルムの傷、ドロップアウト、音楽のヒスノイズみたいなものまで再現されているのには思わずにやりとしました。角ばったフォルムのダッジやマスタング、スタックス・レベール、ソウルミュージック、ウルフカットのような髪型の女性などアメリカにおける1970年代のアイコンが登場する反面、物語自体は現在の設定のようで、携帯電話や、レッドブルなんていう飲み物が出てきます。
タランティーノ監督はそこまで凝る人ですから、この映画で随所に出てくる本筋とはあまり関係ない長く退屈なガールズトークも1970年代、日本でも深夜に再放送でやっていたようなB級アメリカンドラマのオマージュだと思われ、この冗長さも間違いなく狙いでしょう。1970年代にやっていた「燃えよカンフー」とかエド・ウッドものとか当時はなんてグダグダの映画だろうなんて思ってましたが、それでも最後まで観るとなんか楽しかったという微妙な質感に共通するものがこの映画にはありました。
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