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 Apr 12,2018

■オープン・チューニング

 レッド・ツェッペリンの一枚目に'Black Mountain Side'というオープン・チューニングの曲があって、それをノーマル・チューニングで必死にコピーしようとしていたのは中学生の頃。ほどなくしてギターのチューニングにノーマル以外があるのを知ったのは、先輩たちがやっていたCSN&Yの'Ohio'とか'Find The Cost Of Freedom'を聴いた時でした。

'Ohio'と'Find The Cost Of Freedom'でのチューニングは1弦と6弦をEからDに落とすダブル・ドロップDというオープン・チューニングですが、このチューニングでのDコードは3度の音が鳴っていないので長調、短調の判定ができず、不思議な感じになります。これはロックなどで出てくる1度5度のパワーコードに類似していますし、三味線の2上がりのチューニングにも似ています。歌が始まってからメロディに出てくるフラット7度やフラット3度がブルーノートなのか、マイナーなのかとまどうのがキモです。

さらに通常、ギターでは出ない下Dの音がシタールのドローン、あるいはペダルトーンのようになって独特の雰囲気になり、'Ohio'、'Find The Cost Of Freedom'ではサビへ展開してようやく調感がはっきりするわけですが、そこまではまるでだまし絵のように2つの絵が重なっているようにも聴こえます。日本ではガロがこの分野のパイオニアで、オープン・チューニングのオリジナル曲もありました。初期の加藤和彦さんの曲「地雷也冒険譚」もDフラットのオープン・チューニングです。また、ガロの日高富明さんの関わっている石原裕次郎さんの1970年代の曲「不思議な夢」は歌謡曲というフィールドでダブル・ドロップDのオープン・チューニングが使われている非常に珍しいケース。ちなみにこの曲はテレビシリーズの「新・座頭市」シリーズ1の主題歌で、CSN&Yが巡り巡って勝新太郎さんにつながるという大変面白い縁だと思います。
 
 

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